ドライブの知識

二車線に右折レーン…「大きな道路」を走るポイントとテクニックを解説

国道や県道をはじめ、主要な交通網として全国をつなぐ幹線道路。お出かけに欠かせない道路であることはわかっていても、運転初心者や運転に苦手意識を持っている人の中には、「大きな道路は走るのが怖い……」と思っている人も、いるのではないでしょうか?

たしかに、交通量が多い上にクルマの流れが速く、曜日や時間によっては渋滞も起きがちな幹線道路を走るのは、ハードルが高く感じられます。でも、注意すべきポイントを知っていれば大丈夫。今回は、交通量の多い道路や片側2車線道路など、大きな道路をスムーズに走るためのテクニックと注意点を紹介します。

<目次>
基本の走り方は同じでも
特に複数車線の道路で気をつけること
どんなときも気をつけたいこと
安心感を高める運転支援機能
「間違ってもOK!」の気持ちで

基本の走り方は同じでも

「幹線道路」という言葉に明確な定義はありませんが、一般的には国道や県道といった、重要な交通網を担う一般道路を指します(高速道路や自動専用道路は「高規格幹線道路」と呼称します)。片側に複数の車線を有する道路は、原則として追い越しや右折のための走行時を除いて、一番左の車線の走行するよう道交法で定められています。

複数車線ある道路も左側の車線を走るのが基本
複数車線ある道路も左側の車線を走るのが基本

都市部や観光スポットにつながる幹線道路は交通量が多く、普段(特に夜間)はクルマの流れが速いもの。一方で通勤時間や週末、祝日になると、クルマが集中して混雑しがちです。

住宅地を通る生活道路のような、道路の狭さによる見通しの悪さやすれ違いの難しさはありませんが、クルマの流れの影響を受けやすく、またバスやバイクへの対応が求められるといった注意点があります。

●スピードの出し過ぎに注意
多くの幹線道路は直線が多く、カーブも穏やか。街路灯などの設備も整っており、走りやすい設計になっています。それは当然、良いことですが、走りやすいだけにいつの間にか制限速度を超えていることも……。

気持ちよく走れることは大切ですが、制限速度を超えることのないようにご注意を。特に夜間はまわりの景色が見えず、スピードの感覚が把握しづらいため、まめにスピードメーターを確認する必要があります。

●車間距離をしっかりあける
走りやすく、設備の整った幹線道路は、場所によって制限速度が高く(60km/h)設定されています。

スピードが速ければ当然、ブレーキを踏んでも減速に時間がかかるもの。なんらかの事情で前走車が急ブレーキをかけた場合、十分な車間距離がないと減速が間に合わずに追突するおそれが高まります。速度の高い道路では、いつも以上に車間距離を空けるように意識しましょう。

車間距離は「少し空けすぎかな?」と思うぐらいがちょうどいい
車間距離は「少し空けすぎかな?」と思うぐらいがちょうどいい

JAFによれば、60km/hで走行しているクルマが急ブレーキをかけて止まるまでの距離(制動距離)は、およそ44m。そこから計算すると、空けるべき車間距離は33.3m以上です。クルマ1台の長さがおおよそ4~5mですから、止まるまでには実にクルマ7台分以上もの距離が必要となります。

運転に慣れていないうちはクルマのすぐ前を凝視し、車間距離が短くなってしまいがちです。車間距離が短いと前走車の減速に気付くのが遅くなり、頻繁に急ブレーキをかける荒っぽい運転となってしまいます。穏やかでスムーズな運転のためにも、視線は意識して遠くにおき、広く車間距離を取りましょう。

●右左折専用レーンや矢印信号がある

交通量の多い幹線道路では、交差点に右左折専用レーンや矢印信号が設置されます。事前にカーナビが進むべきレーンを示してくれますが、混雑や渋滞により車線変更が間に合わないこともあるでしょう。

交差点にさしかかってからの強引な車線変更は、周囲のクルマに迷惑をかけるだけでなく、重大な事故を招きかねない危険な行為です。絶対に行わないようにしましょう。

この場合、右折はできない。右折車線にいる場合は、交差点に侵入しないように
この場合、右折はできない。右折車線にいる場合は、交差点に侵入しないように

クルマがルートから外れると、カーナビは即座に新しいルートを示してくれます。進むべきレーンに入れなかったときは無理に車線変更せずにそのまま進み、新たにカーナビが示したルートで走行するようにしてください。

矢印信号が多い交差点は、交差する道路が多いことを表わしています。このような交差点は進入後、どの道路を進むか判断のつかないことが多々あります。そんなときは「間違えてもいい」と割り切り、方向だけ間違えないよう進んでしまうのもひとつの手。このとき大きな道を選んでおけば、後々のルート修正が楽になります。

たとえば案内を間違えても強引に曲がろうとしたりせず、次の新しい案内に従うのが安全
たとえば案内を間違えても強引に曲がろうとしたりせず、次の新しい案内に従うのが安全

また青信号と赤信号、そして矢印信号が点灯するタイミングは、交差点によって異なります。進める信号のときに発進しないと、後続車からクラクションを鳴らされることも。このとき、焦ったまま交差点に進入してしまうと、思わぬ事故につながりますから、落ち着いて信号を確認して、適切な行動をとりましょう。

●路上駐車やバスのよけ方
路肩に駐車車両があっても、走行車線に自車が通れるスペースがあるならば、そのまま進んでしまいたくなるもの。でも、駐車車両の先から、歩行者や自転車が出てくることも……。

路上駐車のクルマを避けて通るときは、すぐに停車できるようスピードを落とし、右ウインカーで通過する意思を周囲に伝えます。駐車車両との間に歩行者や自転車が余裕で通れるスペースを確保し、対向車に注意しながらゆっくりと進みましょう。

路上駐車やバスを追い越すときは、対向車がきてないことをよく確認しよう
路上駐車やバスを追い越すときは、対向車がきてないことをよく確認しよう

停留所に停車した路線バスが左ウインカーを出しているならば、後続車はバスを避けて追い越すことができます。スピードを落として対向車を確認、バスの先から歩行者や自転車が表われても、余裕で通れるスペースを確保し、ゆっくりと追い越します。

対向車が確認できた場合や、前方にカーブ等があって対向車線の見通しが悪いときは、バスを追い越さずに停車して、出発を待つことも大切です。

バスが右ウインカーを出しているときは、バスを追い越さずに停車し、出発を待ちます。右ウインカーを出しているバスを追い越す行為は道路交通法違反に該当し、取り締まりの対象となるので、覚えておきましょう。

●バイクの「すり抜け」にも注意
混雑時や渋滞中、クルマの脇を通過するバイクの「すり抜け」。停車中や低速での走行時は、バイクの「すり抜け」があるものと考えましょう。

バイクはクルマとクルマの間をすり抜けてくるので、渋滞時や交差点ではよく注意する
バイクはクルマとクルマの間をすり抜けてくるので、渋滞時や交差点ではよく注意する

後ろからバイクがくることを確認したら、接触を避けるため真っ直ぐ走ります。交差点で右左折、あるいは駐車場に入るために寄せる場合は、バイクが対応できるよう早めにウインカーを出し、ゆっくりと寄せましょう。

特に複数車線の道路で気をつけること

幹線道路には、片側に2つ以上の車線を有する区間が多くあります。片側1車線の道路と異なる注意点があるので、あらかじめ覚えておくことが大切です。

先に曲がる方向が決まっている場合は、早めに車線変更を済ませておく
先に曲がる方向が決まっている場合は、早めに車線変更を済ませておく

●行き先によって車線変更の必要がある
片側複数車線では、原則としてもっとも左の車線を走行しなくてはなりません。交差点で右折したい場合は右側車線へと車線変更を行い、さらに右折専用レーンへ入っていきます。右折ために右側車線を走行することは認められているので、後続車との間隔や混み具合を把握し、適切なタイミングで車線変更を行いましょう。

●車線変更してくるクルマに注意
前方に、ウインカーを出して車線変更しようとしているクルマを見かけたら、スピードを落として車間距離を広げ、そのクルマを入れてあげましょう。

交差点の手前では、道を間違えたクルマが、割り込むように車線変更をする場合もあります。交差点前では特に車間距離を広くとり、割り込みや強引な車線変更に対応できるよう、いつでもブレーキペダルを踏めるようにしておくといいでしょう。

●右折でも左の側道に入る場合も
先の交差点は右折したいけど、カーナビの案内は手前の側道に……。この場合、先方に交差点はなく、側道を通って立体交差する道路を利用することを示しています。「右折だから、右車線でしょう」と思わずに、左の車線から側道へ入りましょう。

左の側道に入って右折することを示す標識の例
左の側道に入って右折することを示す標識の例

側道は狭く、入り口が見つけづらいことも多々あります。側道への分岐が近づいたらスピードを落とし、入り口を見過ごさないよう慎重に進むことが大切です。

どんなときも気をつけたいこと

どんな道路でも、安全な走行には周囲の確認と把握が欠かせません。特にめまぐるしく交通状況の変化する幹線道路では、ひときわ重要になります。

常に前後左右の交通状況を把握するように努める
常に前後左右の交通状況を把握するように努める

●周囲の交通状況の確認
運転に慣れていないと、前方だけに集中してしまいがちです。でも、交通量が多く、片側に複数の車線のある幹線道路では、横方向や後方の確認をおろそかにできません。

横方向の目視と、ルームミラーとサイドミラーによる後方の視認を意識して行い、接近するクルマやバイクはないか、また自身が行列の先頭になっていないかを確認。周囲の状況を把握しながら走行します。

●怖い!と思ったらスピードを落として
先にも触れましたが、幹線道路では制限速度が60km/hに設定されている箇所が多くあります。流れに乗っての走行に怖さを感じたら、無理をせず、怖さを感じなくなるまでスピードを落としましょう。

片側に複数車線がある道路ならば、左車線を走行することで後続車は追い越してくれます。片側一車線の道路の場合、ときどき後方を確認。数台の行列ができていたら、安全な場所を見つけて停車し、追い越してもらいましょう。

●ウインカーは「早め」を意識
クルマの流れの速い道路で車線変更するときは、周囲のクルマに早く意図を伝えることが大切です。早めにウインカーを出すことで、後ろを走るクルマはこちらの車線変更を予測し、車間距離を広げるといった対応を取ってくれます。

ウインカーは「これから進路変更をしますよ」という意志を周囲のクルマに知らせる合図
ウインカーは「これから進路変更をしますよ」という意志を周囲のクルマに知らせる合図

ただし、あまりに早すぎるウインカーも考えもの。例えば1kmも手前からウインカーを出し、そのまま直進を続けてしまえば、車線変更の意図が伝わらないばかりか「あのクルマはどうしたいんだろう?」と混乱を与えてしまいます。ウインカーを出す目安は、車線変更は3秒前、右左折は30m手前です。

●右左折や車線変更前はしっかり寄る

車線変更を伝えるウインカーは、すぐ後ろを走行するクルマだけでなく、隣の車線を走行するクルマや、すり抜けしようとしているバイクにも見せる必要があります。車線変更をする前は車線の端にしっかりと寄り、遠くにいるクルマやバイクからもウインカーが確認できるよう心がけましょう。

後方からのバイクや自転車を巻き込まないためにも、しっかり寄ることは大事
後方からのバイクや自転車を巻き込まないためにも、しっかり寄ることは大事

交差点での右左折時も、しっかりと車線端に寄っておくことでバイクや自転車のすり抜けを防止し、未然に巻き込み事故を防ぎます。

安心感を高める運転支援機能

ここまで、大きな道路を走るポイントをお伝えしてきました。たしかに、慣れないうちは少々、不安に感じるかもしれません。そこで役に立つのが、運転支援機能です。カレコのクルマにも、搭載されています(車種により搭載される機能は異なります)。

●車線維持支援システム/はみ出し警告
センサーが、センターラインや車線を認識。クルマのふらつきや車線からのはみ出しを検知すると、アラームやステアリングの振動といった警告を行い、ドライバーに注意を促す機能が、「はみ出し警告」や「車線逸脱警報」と呼ばれるもの。

「ヤリスクロス」のメーター。中央の表示が車線維持支援機能を示す
「ヤリスクロス」のメーター。中央の表示が車線維持支援機能を示す

一部の車種は、車線維持支援システム(レーンキープアシスト)により、車線からはみ出さないようにハンドル操作をサポートしてくれます。

●ブラインドスポットモニター

ドライバーの死角に入る隣車線の後方を走るクルマを検知し、サイドミラーなどのインジケーターで接近を知らせる機能です。同時に後続車の異常接近を伝える「後方車両接近告知」も実行されます。

ドアミラーに表示される警告灯の一例
ドアミラーに表示される警告灯の一例

こうした機能は、新しいクルマが登場するたびに進化・充実してきています。もちろん、機能に頼って目視を怠ってはいけませんが、搭載されているクルマに乗ると、きっと安心感を得られるでしょう。

「間違ってもOK!」の気持ちで

国土交通省によれば、ほとんどの地域は幹線道路により、1時間程度で高速道路や自動専用道路を利用できるそう。幹線道路を活用できれば、全国の観光スポットがより身近になるともいえます。

どのような道でも、運転の基本は同じ。落ち着いて、「間違ってもOK!」という心構えを持っていれば、きっと怖くなくなりますよ!

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