開園から20周年を迎えた、箱根の人気施設のひとつ「星の王子さまミュージアム」。その名の通り「星の王子さま(原題:Le Petit Prince)」と、作者のサン=テグジュペリをテーマにした、世界で唯一のミュージアムです。
箱根仙石原まで都心から2時間ほど
都心から「星の王子さまミュージアム」のある箱根仙石原までは、東名高速道路を利用します。御殿場インターチェンジから一般道へ降り、およそ12キロで到着。出発から2時間ほどの道のりです。
「星の王子さま」ってどんな話?
1943年にアメリカで刊行された「星の王子さま」。現在では300を越える国(地域)の言語で翻訳本が発行され、総発行部数は2億冊以上を記録。日本では1953年に最初の翻訳本が発行され、現在までの発行部数は600万冊以上とされています。2005年に日本国内での翻訳出版権が消失すると、数十以上の出版社からそれぞれの翻訳本が発行されました。
物語は「ぼく」の操縦する飛行機が、サハラ砂漠に不時着したところから始まります。「B612」という小惑星から訪れたという王子さまより、出会い頭に投げかけられた謎かけのようなお願い。飛行機を修理する「ぼく」の傍らで、王子さまは小惑星をあとにした経緯や、地球を訪れるまでに出会った人々の話、そして地球を訪れてからの日々を語ります……。
「星の王子さま」は児童文学書の体裁を取っていますが、大人になってから読むことで、それまで気付けなかった新しい発見をもたらしてくれる、大人に向けた文学書の一面を持つことでも知られています。
ちりばめられた「星の王子さま」ネタを探そう!
「星の王子さまミュージアム」は、作者サン=テグジュペリの誕生100周年を記念した世界的記念事業のひとつとして、1999年に設立されました。この地(箱根仙石原)が選ばれたのは自然の豊かさと、世界中から訪れる観光客を受け入れられる環境を併せ持っていたからとされています。
星の王子さまミュージアム広報の都路一海さんに、ミュージアムの見どころを解説してもらいました。
チケット売り場からエントランスを抜けると、まずは「出会いの庭 アジサイの小径」が迎えてくれます。
ゲートをくぐると「星の王子さま」の代名詞、バラをテーマにした「ローズガーデン」に続きます。例年、5月下旬から7月上旬にかけて行われる「ローズフェア」の中心となるエリアです。ガーデンの中央には、バラを風から守る王子さまのオブジェもあります。
ガーデンから続く「クリスマスローズの花園」。「クリスマスローズ」はローズという名前がつくもののバラではなくキンポウゲの仲間で、冬が見ごろです。王子さまとキツネ、そしてヒツジのオブジェに挨拶したら「王さま通り」へと向かいましょう。
ミュージアムのフォトスポットとしてもっとも有名な「王さま通り」は、サン=テグジュペリが生まれた1900年代のフランス リヨンの街並みを再現したものです。お店の名前や看板は「星の王子さま」やサン=テグジュペリ本人、あるいは「星の王子さま」以外のサン=テグジュペリ作品と関わりがあります。気になる人はガイドツアーに参加し、ガイドさんに答えを聞いてみましょう。
「王さま通り」を抜けると、王子さまのたたずむ「飛行士通り」に出ます。王子さまにむかって進むと、小惑星の住民たちが出迎えてくれる「実業家通り」と「ウワバミの小径」があり、その奥には「サン=テグジュペリ教会」がひっそりとたたずんでいます。
現在「サン=テグジュペリ教会」では、期間限定イベント「フラワーチャペル」が催されています。ガーデンデザイナーの吉谷桂子さんがアレジメントを手がけた、ミュージアムの新しいフォトスポット。終了日は未定ですが、20周年となる2019年の夏休みの期間中は継続されるそうです。
展示ホールのある「飛行士通り」の建物は、サン=テグジュペリが「人間の土地」の執筆を行った1930年頃のパリを再現しています。こちらもお店の名称や看板はサン=テグジュペリに関連したものになっています。
「飛行士通り」から「呑み助通り」を抜け、「王さまの井戸」の前を通過すると、視界が広く開けます。左手の建物はサン=テグジュペリが幼少期を過ごした「サン=モーリス・ド・レマンス城」を再現したもの。シャトー(城館)の前にはフランス式庭園「パルク・デュ・プチ・プランス」が広がります。
サン=テグジュペリは、どんな人だった?
展示ホール内は一部のエリアを除き、展示された写真の権利の関係上、撮影が禁止されています。ここで掲載している画像は、許可をいただいて撮影したものです。
「飛行士通り」から展示ホール内に入ると、真っ赤な飛行機が出迎えてくれます。これはサン=テグジュペリが所有していた2台の飛行機のうち1台を、1/3サイズで作ったものです。すぐ奥の「映像ホール」では、サン=テグジュペリの生涯を簡単にまとめた映像を視聴することができます。
ホール内はサン=テグジュペリの歩んだ生涯の順に、展示物が飾られています。展示されているサン=テグジュペリの私室などは、当時の写真などを元に再現したそうです。
サン=テグジュペリのエリアが終わると、次は「星の王子さま」エリアに入ります。ここでは「星の王子さま」に登場した人物を立体化したオブジェが飾られています。
世界中で翻訳された「星の王子さま」。最後のエリアでは、その一部が展示されています。
ここでしか食べることのできないオリジナルメニューが盛りだくさん
ミュージアム内に併設されたレストラン「ル・プチ・プランス」では、「星の王子さま」やサン=テグジュペリにちなんだ、様々なオリジナルメニューが用意されています。この日は一番人気の「Le Petit Prince ふわふわパンケーキ」と「ウワバミのオムライス」をオーダーしました。
テーブル(※現在は展示ホールにあります)は、サン=テグジュペリの友人、ベルナール・ラモット宅にあったテーブルの複製品です。無数に刻まれたメッセージは、ラモット宅に訪れ、食事をした人たちが刻んだもの。サン=テグジュペリもまた、ラモット宅に訪れて食事をしたことがあるとされ、よく見るとサン=テグジュペリと思われるサインや、王子さまに通じる少年のイラストも刻まれています。
ミュージアムの最後には、ミュージアムショップ「五億の鈴」があります。「星の王子さま」に関わる商品の品揃えは、国内で最大級。ここでしか購入できないミュージアムオリジナルグッズも扱っています。
星の王子さまミュージアムでは、7月6日(土)より新たな謎解きプログラムが実施されるそうです。また、開園20周年を記念した「オリジナル消印イベント」も行われます。
「星の王子さま」は、読んだ人により印象や受け取り方が変わる作品です。一緒に訪れた人と、それぞれの感じた「星の王子さま」を語り合ってみるのもいいかもしれません。
▼星の王子さまミュージアム
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原909
電話:0460-86-3700
箱根山のパワーを分けてもらおう
「星の王子さまミュージアム」のある箱根仙石原には、他に「箱根ガラスの森美術館」、「ポーラ美術館」、「ラリック美術館」など、たくさんの美術館や博物館があり、ミュージアム巡りができます。近くの仙石原温泉では日帰りのできる温泉施設が数多くあるので、一汗流すこともできます。ドライブを楽しみたいのなら、芦ノ湖へと足をのばして「箱根神社」にお詣したり、「アネスト岩田ターンパイク箱根」を走るのもいいですね。
お詣の後、敷地内にある「権現からめもち」にて、名物の「からめもち」をいただきました。毎朝、その日に販売するだけ餅米をついて作った「からめもち」はいつまでもやわらかく、バスやタクシーの運転手にも人気なのだそう。
▼箱根神社
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80-1
電話:0460-83-7123
URL: http://hakonejinja.or.jp/
今回のドライブで利用したクルマ:トヨタ C-HR
今回、利用したのは、軽快さとパワフルさを兼ね備えたコンパクトSUV、トヨタ「C-HR」です。
コンパクトなボディに、通りたいコースにピシッと向かう高い走行性能は、急カーブの多い山道を通るのにうってつけ。優れた燃費性能も、長距離ドライブをするにときの嬉しいポイントですね。
「トヨタC-HR」の車種クラスは「ベーシック」で、ベーシックプランなら24時間パック7,300円でご利用いただけます。
>>>「トヨタ C-HR」が設置されているステーションはこちら