ドライブの知識

SA・PAの達人に聞く「人気&おすすめのサービスエリア・パーキングエリア」関東編

長距離ドライブの強い味方、サービスエリア(以下SA)・パーキングエリア(PA)。それぞれの地域のお土産やご当地グルメにあふれていて、ちょっと寄るだけでも十分に楽しめる場所ですよね。とはいえ、SAやPAをお目当てにドライブをするということはあまりなく、「お手洗い休憩のついでに」といった程度でしか行かれたことのない方も多いのでは?

そんな読者のみなさんに「ちょっと待った!」の声を上げたのが、SA・PAの達人、山形みらいさんです。

今回は山形さんに、SA・PAの楽しみ方や、関東近郊のおすすめSA・PAを教えていただきました!

<プロフィール>

SA・PAの達人 山形みらいさん
都市間高速道路研究者。日本サぱ協会会長
高速道路をこよなく愛する「唯一無二のハイウェイタレント」
https://www.n-sapa.com/
https://www.office-morion.com/

〈目次〉
そもそもSA・PAってなに? 最新のSA・PA事情
休憩だけじゃない! SA・PAの楽しみ方とは?
おすすめSA・PA関東10選
SA・PAも旅の目的のひとつとして取り入れて、さらに楽しいドライブを!

そもそもSA・PAってなに? 最新のSA・PA事情

編集部:今日はSA・PAの達人に来ていただきました! さっそく、前提としてSA・PAについて教えてください。

山形さん:まずSAは、高速道路の建設時に約50kmごとに設置を計画します。その際に、近くに景勝地があればそこを優先的にSAにします。例えば東北自動車道の佐野SAは、上下線を片方の土地に集約して、景勝地としての三毳山(みかもやま)が眺められるようにしてあります。


そしてSAの役割は、トイレや休憩所、フードコート、売店(ショップ)だけでなく、レストランやガソリンスタンドなど、比較的大規模で「人とクルマが休息するための施設」であることが多いと言えます。

一方でPAは、そのSAの間を補完するように、約15km~25kmごとに設置されて、その役割はトイレや小さな売店のみの箇所もあるなど、主に「人が休憩するための施設」となります。

このような役割から、SAは大規模、PAは小規模と思われがちですが、例えば交通量が少ない路線ではSAでもガソリンスタンドが無かったり、逆に利用状況からPAに大きなフードコートが設置されたりするなど、規模感が逆転していることがあります。

編集部:そうなのですね! てっきり、大規模なのがSA、小規模なのがPAなのだと思っていました。

山形さん:そう思っている方が多いのですが、設置距離や利用者数によって充実度が異なるんです。

一方で、新しいことにチャレンジすることにも積極的で、例えば東名高速道路にある日本平PA(上り)では、2024年5月に施設内に「chocoZAP(チョコザップ)」がオープン。チョコザップの業務形態を活かし、運転疲れの回復や運動不足の解消、気分転換など、安全運転に繋げる役割も担っているそうですよ。

現在PA唯一のチョコザップ店舗となる「日本平PA(上り)店」
現在PA唯一のチョコザップ店舗となる「日本平PA(上り)店」

さらに2024年7月、東名高速道路の足柄SA(上り/下り)に少人数制カラオケ「COCOKARA」がオープン。カラオケで思いっきり歌ってストレス解消や気分転換することで眠気防止にもなります。SA・PAのエンタメの進化が止まりませんね。

SAでは全国初のカラオケブース(足柄SA(下り)で山形が撮影)
SAでは全国初のカラオケブース(足柄SA(下り)で山形が撮影)

休憩だけじゃない! SA・PAの楽しみ方とは?

編集部:普段は「お手洗いに行きたくなったら次のSA・PAに寄る」という利用の仕方をしている人が多いように思います。ついでにお土産を見たりもしますが、SA・PAってどこも品ぞろえが同じなんじゃないかとも思ってしまいますし……。

山形さん:ほとんどの方は、そういった使い方をされると思います(笑)。ただ、私たちは「それだけじゃもったいない!」と思うんです。

編集部:例えば、どんな楽しみ方があるのでしょうか?

山形さん:私がよくやるのは、「地元の人」の気持ちになってSA・PAを楽しむことです。高速道路からSA・PAへ入る方法の他に、一般道路から入ることのできるSA・PAも増えてきました。つまり「地元の人に向けてゲートを設けて食事やショッピングを楽しめる」ようになっているということなんです。

例えば、地元の新鮮な野菜を売っていたり、食品の取り扱いが充実していたり……。子ども向けのレジャー施設が整備されているところもあるんです。

編集部:なるほど!つまり、「ドライブのついで」ではなく「SA・PAを目的にして遊びに行く」としても楽しめる施設が増えてきたということですね。

おすすめSA・PA関東10選

編集部:ここからはぜひ、山形さんがおすすめするSA・PAについて教えてください!

山形さん:もちろんです!「SA・PAを目的に」遊びに行けるような施設を10箇所ご紹介します。

圏央道・菖蒲PA

山形さん:菖蒲PAは内回り、外回り両方から利用できる集約型PAです。先ほどお伝えしたように、高速道路からだけではなく一般道路からのアクセスもできるPAなんです。

フードコートとお土産売り場が大変充実しているのが特徴です。スタッフの方が「お土産の研究」を熱心にしていて、今流行りのお土産から地元のお土産、東北地方のものなども取りそろえていて、行くたびに新しい発見ができますよ。

毎月「野菜特売の日」があるのも面白いポイントです。地元の新鮮な野菜や果物を安く楽しめるとして、毎月大盛況なんですよ!

菖蒲PAは2023年10月に開業8周年を迎え、埼玉県のマスコットキャラクターを呼んでイベントを行うなど、地元を楽しくする活動を積極的に行っているPAなんです。

菖蒲PA開業8周年を埼玉県のキャラクター(ふっかちゃん、コバトン&さいたまっち)と一緒に盛り上げた
菖蒲PA開業8周年を埼玉県のキャラクター(ふっかちゃん、コバトン&さいたまっち)と一緒に盛り上げた

もうすでに10周年に向けて面白いことをやろうとスタッフの方が動いているそうですよ(笑)。

▼菖蒲PA
住所:埼玉県久喜市菖蒲町下栢間859-3
URL:https://www.driveplaza.com/sapa/214K/214K093/1/

首都高速道路・川口ハイウェイオアシス

山形さん:こちらは川口PAと川口市が運営する「イイナパーク川口(公園)」が連結し、2022年4月に誕生した、首都高初のハイウェイオアシスです。ハイウェイオアシスとは、高速道路の休憩施設と都市公園などを一体的に整備し、高速道路の利用者だけでなく、地元の方の利用も促進する施設なんですよ。

その言葉どおり、川口ハイウェイオアシスは基本的なPAの設備だけでなく、屋内あそび場や緑豊かな公園もあり、親子連れにやさしいハイウェイオアシスとなっています。

イイナ川口にあるフワフワドーム。3歳から小学生までを対象とした遊具
イイナ川口にあるフワフワドーム。3歳から小学生までを対象とした遊具

私のイチオシは、川口ハイウェイオアシスの看板メニューになっている、埼玉県名物「肉汁うどん」です。トラックドライバーさんに、どのくらいの量でお腹が満たされるかアンケートをとって、普通サイズを400gに設定し、物足りなさを感じさせないようにしているのです。そのため、普通の飲食店よりも量を多くしているのです。麺は少ない量も選べるので、よりご家族向けにも楽しんでいただけるようになりました。

▼川口ハイウェイオアシス
住所:埼玉県川口市赤山501-1
*カーナビ検索時は「埼玉県川口市赤山986」と検索してください。
URL:https://www.kawaguchi-highwayoasis.com/

常磐自動車道・パサール守谷 守谷SA

山形さん:こちらは休憩するためのスペースが広く取られ、くつろぎに特化したSAです。フードコートも充実しており、地元の食材を使った料理も楽しめます。

私のお気に入りは、「肉の大山」の「特製大山メンチバーガー」です。お肉の質がとてもよくてボリュームもあり、お腹も心も満たされます。

ひとつ食べるとまたひとつ食べたくなる「特製大山メンチバーガー」450円(税込み)守谷SA(下り)で山形が撮影
ひとつ食べるとまたひとつ食べたくなる「特製大山メンチバーガー」450円(税込み)守谷SA(下り)で山形が撮影

また、守谷SAは上り・下りでそれぞれ違うショップやお土産店が入っているので、行き帰りどちらも寄ってほしいですね。

▼パサール守谷SA
上り:茨城県守谷市大柏166
URL:https://www.driveplaza.com/sapa/1400/1400016/1/
下り:茨城県守谷市野木崎97-3
URL:https://www.driveplaza.com/sapa/1400/1400016/2/

東北自動車道・佐野SA(下り)

山形さん:2023年7月にフルリニューアルしたきれいなSAです。建物内は通路が広く取られていて、ゆっくりくつろげるスペースがあるんです。

入口では、天明鋳物で出来た栃木県佐野市のブランドキャラクター「さのまるくん」がお出迎えしてくれます。ぜひ一緒に写真を撮ってくださいね。

2023年4月22日に佐野SA(下り)リニューアルを記念して設置された「さのまる像(天明鋳物製)」
2023年4月22日に佐野SA(下り)リニューアルを記念して設置された「さのまる像(天明鋳物製)」

さらに佐野といえば、やっぱり「佐野ラーメン」。SA内で佐野ラーメンが楽しめるほか、「麺ソファ」というくつろぎスペースも……。これがなかなかこだわっていて、たまご麺のような色をしていて、ソファの傍らにはラーメンの具材を模したテーブルがあるんです。「映え」を求めに行ってみるのも楽しいですよ。

「さのまるくん」も座った麺ソファ。ここで記念写真を撮りつつひと休み
「さのまるくん」も座った麺ソファ。ここで記念写真を撮りつつひと休み
広々とした緑の芝生の上に、カラフルで思わず座りたくなる「さのいろソファ」
広々とした緑の芝生の上に、カラフルで思わず座りたくなる「さのいろソファ」

▼佐野SA下り
住所:栃木県佐野市黒袴町1021
URL:https://www.driveplaza.com/sapa/1040/1040056/2/

東北自動車道・パサール蓮田 蓮田SA(上り)

山形さん:こちらはNEXCO東日本エリアの中でも特に充実しているSAです。東北地方のお土産がほとんどそろっているので、埼玉県にいながら、東北地方を感じることができるんです。

ここの特徴は、お肉やお刺身、生鮮食品はもちろん、色んなお惣菜を取り扱っていることです。旅の余韻が残っているときに、ここでお惣菜を買って帰ればそのまま自宅でも旅の続きが楽しめます。都内まであとひと踏ん張りという場所にあるので、とても使い勝手のよいSAですね。

地元の方が利用しやすいように、SA直結バスが出ているので、スーパーの代わりに利用されているのもお見かけします。

▼蓮田SA上り
住所:埼玉県蓮田市大字川島370
URL:https://www.driveplaza.com/sapa/1040/1040021/1/

常磐自動車道・友部SA(上り)

山形さん:友部SAは「茨城のグルメを堪能するSA」。何といってもレストラン「珠蔵」に注目です。こちらはNEXCO東日本エリアのメニューコンテスト「ハイウェイめし甲子園」でグランプリを受賞したメニューが味わえるんですよ。

また、茨城県は納豆も有名。売店では納豆の取り扱いも充実しているほか、「納豆ドッグ」の販売や納豆グッズの取り扱いもあります。納豆好きにはぜひ訪れてほしいSAです。

▼友部SA上り
住所:茨城県笠間市長兎路梶山久保1059-6
URL:https://www.driveplaza.com/sapa/1400/1400071/1/

関越自動車道・パサール三芳 三芳PA(上り)

山形さん:ここは、レストランやお土産、野菜や果物の産直販売があるなど、バラエティー豊かなPAなんです。

高速道路上にある休憩施設で、2店舗しかない「オートバックス」がテナントに入っています。
クルマのくもり止めクリーナーやクッション、スマホ充電器などのドライブに役立つカー用品やカーアクセサリーが購入できます。同乗者の方も楽しめるようにトミカのミニカーやかわいい雑貨が売っているのもポイントです。

また、パサール三芳のゆるくてシブイキャラクター「ぽて父さん」がこちらのPAの応援キャラクターなので、運が良ければ会えるかもしれません。

▼三芳PA上り
住所:埼玉県入間郡三芳町大字上富2204
URL:https://www.driveplaza.com/sapa/1800/1800011/1/

東京湾アクアライン・海ほたるPA

山形さん:言わずと知れた「遊びに行きたいPA」ですよね、ここはハズせない施設のひとつです。東京湾アクアラインは、川崎から木更津まで繋がっていて、中間の海ほたるPAで遊んだあと、Uターンすることができます。

足湯や回転寿司がPA内にあるのが面白いところで、海ほたるPAならではのグルメ「いわしバーグ」もおすすめです。私は元々いわしが食べられなかったのですが、ここの「いわしバーグ」でいわし嫌いを克服しました!

4階にある足湯エリア「足ゆ」。営業時間内なら、誰でも無料で利用できる。ドライブで疲れた体を癒したいときはぜひ
4階にある足湯エリア「足ゆ」。営業時間内なら、誰でも無料で利用できる。ドライブで疲れた体を癒したいときはぜひ
海ほたるの夜景もきれい。1日遊び尽くせるスポット
海ほたるの夜景もきれい。1日遊び尽くせるスポット

▼海ほたるPA
住所:千葉県木更津市中島地先海ほたる
URL:https://www.umihotaru.com/

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首都高速道路・平和島PA(上り)

山形さん:首都高には意外と有人のPAが無いと思っている方が多いんですよ。

こちらは営業車やタクシー運転手さんを主なターゲットとしたPAで、料理を素早く提供することがコンセプトです。食堂は料理好きのパートさんが提案した「生姜焼き定食」や「おばんざい定食」が人気です。首都高はどこのPAもご飯がおいしいと私は思います。

また、映画「シン・ゴジラ」にてゴジラが品川方面へ街を破壊しながら進むシーンがありました。そこで平和島PAでは、ゴジライベントなどもやっているんです。映画を観た方にはぜひ行ってみてほしいPAです。

▼平和島PA上り
住所:東京都大田区平町
URL:https://www.shutoko-sv.jp/parking_area/pa/?id=1427349218-187074

中央自動車道・談合坂SA(上り)

山形さん:山梨県の魅力が存分に楽しめて、レストラン、フードコートのメニューも充実している素晴らしいSAで、とても気に入っています。

お土産の点数も多く、選ぶ楽しさがあるのも魅力のひとつです。その他にも野菜の直売があったり、土日祝はイベントが多く開かれていたり……。いつ訪れても飽きません。

私のおすすめは、ほうとうが食べられるレストラン「ゆるり庵」。ここのほうとうもおいしいのですが、果汁100%のぶどうジュースが楽しめるところが、「フルーツ王国の山梨に来た!」という感じがしていいですね。

「ぶどう液」ご当地ジュースが楽しめるのもSAならでは(談合坂SA(上り)山形が撮影)
「ぶどう液」ご当地ジュースが楽しめるのもSAならでは(談合坂SA(上り)で山形が撮影)

高速道路で飲むぶどうジュースは格別です。

▼談合坂SA上り
住所:山梨県上野原市大野4943
URL:https://sapa.c-nexco.co.jp/sapa?sapainfoid=96

SA・PAも旅の目的のひとつとして取り入れて、さらに楽しいドライブを!

編集部:おすすめのSA・PAを10箇所ご紹介していただきましたが、こう見るとそれぞれのSA・PAに特徴があって面白いですね!

山形さん:興味を持ってもらえてうれしいです! その他にも、「ハイウェイスタンプ」が設置されていて、上り・下り線、集約式でも色やデザインが違うので、これを集めていくのも楽しいですよ。それから、SA・PAの形状や建物にも特徴があるのも面白いですよね。

SA・PAはトイレ休憩だけと思っていた方には、ぜひこの記事をきっかけにSA・PAを思いっきり楽しんでいただきたいです!

編集部:ありがとうございました!

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