細い道路から幹線道路へ、斜めにつながる丁字路交差点。交差する道路との角度が浅いと、ウインカーを進行方向に出すべきか、それとも反対方向に出すべきかを迷ってしまうもの。
ここでは運転に慣れた人でも判断に迷いやすいシチュエーションを取り上げ、正しい解釈や運転の仕方を紹介します。
<目次>
・シチュエーション(1):右折待ちをしていたら信号が赤に…
・シチュエーション(2):ゼブラゾーンの上は走ってもいい?
・シチュエーション(3):片側3車線、どの車線を走るのがベスト?
・シチュエーション(4):「7-9」の補助標識、この時間は走行OK? NG?
・シチュエーション(5):高速道路の合流は早めにすべき?
・シチュエーション(6):斜めの「止まれ」、ウインカーは右?左?
・シチュエーション(7):執拗なあおり運転…ドライバーが110番してもいい?
・とっさのシチュエーションに迷わないために
シチュエーション(1):右折待ちをしていたら信号が赤に…
交差点で右折待ちをしていたら、信号が赤になってしまった。また青になるまで、待っているべき? それとも曲がってしまうべき?

交通量の多い道路では対向車が多く、右折できないまま信号が赤になってしまうことがあります。
また、青信号になるまで待つべきか、それとも曲がってしまうべきかは、自身のクルマがどこで停止しているかによって決まります。
道路交通法施行令第1章第2条によると、停止線を越え、交差点内で停止して右折待ちをしていた場合、「赤信号になっても進んでいい」とされています。これは、交差点内に留まるのは危険で、周囲に迷惑をかけてしまうため。
信号が変わってからも交差点内に留まると、「交差点等進入禁止違反」で罰則を受けるおそれがあります。停止線より手前で停止している場合は、そのまま次の青信号になるまで待ちましょう。
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シチュエーション(2):ゼブラゾーンの上は走ってもいい?
交差点の手前や車線が合流する地点の手前などに描かれる、シマシマ模様の「ゼブラゾーン」。
このゼブラゾーンは走行していいの? いけないの?

ゼブラゾーンは通称で、正式な呼称は「導流帯(どうりゅうたい)」。国家公安委員会告示の『交通の方法に関する教則』には、導流帯を「車の通行を安全で円滑に誘導するため、車が通らないようにしている道路の部分であること」と説明しています。
走行しないことが望ましい導流帯ですが、道路交通法では(地域による例外はあるものの)導流帯の走行を禁止しておらず、走行しても罰則の対象となりません。
なお、道路上のシマシマ模様は、消防署や警察署の前などにも描かれています。

こちらは導流帯ではなく「停止禁止部分」で、わずかな時間であっても停止すると罰則の対象となります。信号などで停止が予想される場合は手前で停止し、出動する緊急車両の邪魔にならないよう心がけましょう。
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シチュエーション(3):片側3車線、どの車線を走るのがベスト?
キープレフトとはいうけれど、片側3車線の道路で走るべき車線は左・中央・右のどれでしょうか?

道路交通法第20条第1項(車両通行帯)によると、一般道、高速道路ともに車両は左側端から数えて、一番左の車両通行帯(車線)の走行が原則です。
また、片側3車線以上を有した道路では「速度に応じ、一番右側の車線以外を走行することができる」とあります。これは、一般道での一番右側の車線は追越し、右折、分岐のためのもので、理由なく走行することはできない、ということ。
“速度に応じ”の一文から、一番左側の車線での流れ(速度)が遅い場合、右隣の車線(第二走行車線)を走行することができます。
市街地や交通量の多い道路では、左折車や路上駐車などにより、左側車線の流れが悪くなることも。そのような場合、第二走行車線を走行しても問題がないことを覚えておきましょう。
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シチュエーション(4):「7-9」の補助標識、この時間は走行OK? NG?
標識の下に、「7-9」など時間の書かれた補助標識がついていることがあります。
この場合、7~9時の間、走ってもいい? それともこの時間帯は走れない?
ここでは、下の画像の標識を例に解説していきます。

まず、上の青い標識は「歩行者専用道路」であることを表し、認められた車両以外は通行することができません。
通行が認められた車両とは、緊急車両や身体障がい者の送迎車、集配車、沿道に車庫があることを認められたクルマなどです。
「歩行者専用道路」の下の標識は「補助標識」で、補足情報を表記しています。
歩行者専用道路はクルマだけでなく、バイクや原動機付自転車、自転車を含む軽車両も通行できませんが、画像の道路は「自転車を除く」、つまり「自転車は通行できる」ことを表しています。
「土・日曜、休日を除く7-9 13-16」の表記は歩行者専用道路が実施される日時などの条件を記したもの。この場合は、土・日・休日を除いた月曜日から金曜日の7~9時までと、13~16時が歩行者専用道路となることを示します。
つまり、補助標識にある条件に合致するときが、「この標識が有効である」ということです。
では、次の標識は何を示しているでしょうか?

答えは「8~20時の間は直進のみ」です。早朝や深夜は、右左折ができます。
シチュエーション(5):高速道路の合流は早めにすべき?
IC(インターチェンジ)やJCT(ジャンクション)、SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)など、付加車線から本線への合流や、車線の減少による車線変更など、高速道路ではたびたび合流の機会が訪れます。
これらの合流ポイントで車線変更を行うタイミングは、早く行うべきか、それとも遅く(付加車線や減少する車線の終端くらい)行うべきか……。ドライバーの考え方や感情の問題もあり、長く討論されてきました。

2019年にNEXCO中日本が渋滞緩和策として「ファスナー合流」大作戦を実施。合流を遅く行うよう、初めて合流のタイミングについてのアナウンスが行われました。
ファスナー合流とは、合流する側の車両が付加車線の終端まで進み、本線側の車両と1台ずつ交互に合流するといったもの。その様が締まるときのファスナーに似ていることから名付けられました。
「ファスナー合流」大作戦により、渋滞を起因とする損失時間が3割、減少し、NEXCO中日本では本格的にファスナー合流を推奨。NEXCO東日本とNEXCO西日本、JAFやいすゞ自動車もファスナー合流の推奨を開始しました。
「ファスナー合流」大作戦では、ファスナー合流は渋滞時のみを対象としていましたが、現在では渋滞の有無に関わらず、合流ポイントでのファスナー合流を呼びかけています。
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シチュエーション(6):斜めの「止まれ」、ウインカーは右?左?
細い道路から幹線道路へ、斜めにつながる丁字路の交差点。接続する道路の角度が浅いと、付加車線からの車線変更のように「進行(曲がる)方向とは逆側に、ウインカーを点灯しなくてはならないのでは?」と、迷ってしまうもの。
ウインカーを進行方向に出すか、それとも反対方向に出すかは、道路の接続場所が交差点か、それとも付加車線や側道の合流ポイントかで判断します。

道路交通法第1章第2条5項にて、交差点は「十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう」と定義されています。
要約すると「交差点は2本以上の道路が交わっている場所」。一方、交差点でない道路の接続場所は、付加車線(側道)から本線に接続する合流ポイントが該当します。
道路の接続場所が交差点ならば、ウインカーは進行方向(曲がりたい方向)に出す。
付加車線の合流ポイントならば車線変更として、合流する車線がある側にウインカーを出します。つまり、今回のシチュエーションでは「左」というわけ。

正しくウインカーを出すには、道路の接続場所が交差点か合流ポイントかを判断する必要があります。
交差点ならば、多くの場合、停止線や一時停止(止まれ)の標識、信号機があります。走行している道路が本線と平行して走り、接続場所に白い破線(車線境界線)が引かれている場合は合流ポイントになります。付加車線に停止線や信号機が設けられているケースもあり、この場合は交差点として扱います。
道路交通法では、右左折の合図と車線変更の合図は区別されており、間違った方向にウインカーを出すと罰則を受けるおそれがあります。
また、右左折を知らせるウインカーは交差点の30メートル手前から出す。車線変更を知らせるウインカーは3秒前から出すとされているので、こちらにも注意しましょう。
シチュエーション(7):執拗なあおり運転…ドライバーが110番してもいい?
「あおり運転(妨害運転)」とは、後方から車間距離をつめて威嚇する、前に割り込み急ブレーキをかけて走行妨害、幅寄せといった、悪質で危険な運転行為を指します。
あおり運転を受けた際、同乗者がいるのなら携帯電話で110番してもらい、警察の指示に従います。問題はドライバーしかいないとき。

運転中の電話は「ながら行為」に該当し、道路交通法第71条(運転者の遵守事項)5の5にて禁じられています。
しかし、「傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く」ともあるので、危険なあおり運転を受けての通報は必ずしも罰則の対象とならないのです。
とはいえ、通報のためであっても、運転しながらの携帯電話の操作が危険であることに変わりありません。
まずは速度を落として路肩によるなど、後続車に追い抜きを促し、それでもあおり運転が続くようなら、SA・PAやコンビニエンスストアの駐車場、警察署や派出所に避難することをすすめます。

もし、相手のクルマがついてきたら、ひとけのある場所にクルマをとめて110番します。安全のためドアをロックして車外に出ず、相手のドライバーの要求には一切、応じないようにしてください。
あおり運転だと判断する前に注意してほしいのが、自身の出している速度です。
高速道路の本線には「最低速度」が設けられており、違反する速度で走り続けると「最低速度違反」として罰則の対象になるだけでなく、あおり運転を“している側”と見なされる場合もあります。
なお、多くの携帯電話には、すぐに緊急通報ができる機能が備わっています。操作方法は機種によって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
とっさのシチュエーションに迷わないために
クルマを運転していると、実にさまざまな場所や出来事に遭遇します。中には「こんなときどうすれば……」と、判断に迷うシーンもあるでしょう。
今回、取り上げたシチュエーションは代表的なもの。頭に入れておくことで、迷わずにすむ場面もある……かもしれません。このページをブックマークし、定期的に見返すのもおすすめです。
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